このタイトルは釣りに決まっています。
「軽く紹介するための10本」テンプレなんて、
関係あるはずもありません。
……いえ、テンプレ改変でいくと云いたいこと全部云うのが難しいので、ね。
アンチミステリーVSアンチファンタジーとか後期クイーン問題とか、「それっぽい」単語がゴロゴロ出てくるのがこのシリーズの特徴だと思うのですが、「本家」にはこんなものもあるよ、というノリでご紹介。
「メタミステリ」「アンチミステリ」(及び「ネタミステリ」)あたりをキーワードに、割と本気で選んでみました。(但し、ドグラマグラとか匣の中の失楽みたいなド定番は除外)
傾向は意図的に散らしています……散らしすぎて何が何だか(ry
なお、年次は初出です。
■ひぐらしのなく頃に(07th Expansion・2006年)
まあ、いきなりここかよとも思うけr(ry
……お約束です。プレイして当然。
冒頭の区分では「メタミステリ」ということになるかと思いますが、(2008年から振り返る形で評価すると、)「メタ」の世界を作中で直接描写してしまったことによって、リプレイ小説的に受け止めることも可能な気もします。
ここから、本題。
■迷路館の殺人(綾辻行人・1988年)
メタミステリ……といえるのかな、これは。作中作です。
本を開くとプロローグが始まって、10ページばかり進むと改めて「表紙」があって、そこから延々小説が続いて、そして「奥付」があって小説が終わると、即エピローグが始まるという体裁です。こんな豪快な「作中作」は他に知りません1 。
ぶっちゃけ、パラパラ捲って体裁見るだけでも良い。(中身がつまらないとはいわないが、体裁が面白すぎる)
この小説については、「謎が解ける/解けない」ということよりも、「何故このような体裁を取ったのか」を意識しておくとより面白く読めるでしょう。
「館シリーズ」の作品ですが、「シリーズ共通の探偵役は島田潔である」ということだけ押さえておけば、本作だけ読んでも問題はないです。
著者/訳者:綾辻 行人
出版社:講談社( 1992-09-03 )
定価:¥ 620
文庫 ( 378 ページ )
ISBN-10 : 4061852264
ISBN-13 : 9784061852266
■霧越邸殺人事件(綾辻行人・1990年)
綾辻行人をもう一冊。こちらは、「アンチミステリ」です。(と、書いてしまうとネタバレだろうか……?)
「嵐に閉ざされた洋館で連続殺人が」というお馴染みといえばお馴染みの設定のお話ですが、事件の展開(あるいは「解決」)は、いわゆる「本格推理小説」のそれを大きく逸脱していきます。
綾辻行人はホラー・幻想小説も書く人なのですが、「本格」の土俵で幻想趣味が大炸裂した傑作です。
ストーリー詳細や「アンチミステリ」としての解説は、Googleで検索すればザクザク出てくるのでそちらも参考に。
著者/訳者:綾辻 行人
出版社:新潮社( 1995-01 )
定価:¥ 935
Amazon価格:¥ 935
文庫 ( 701 ページ )
ISBN-10 : 4101386110
ISBN-13 : 9784101386119
■頼子のために(法月綸太郎・1989年)
日本で「後期クイーン問題」といえばこの人でしょうの<小説家>法月綸太郎が、(多分)最初にその問題にぶち当たった、あるいは自作のテーマとしたのがこの作品。(……これも微妙にネタバレかもしれない)
メタでもアンチでもないガチガチの本格ですが、テーマ的にはありかな、と。
「後期クイーン問題」というと、単に「作品内での決定不可能性」のこととして理解されがちですが(それはそれで良いと思う)、「そこに決定不可能性があったとしても犯人を犯人として指名しなければならない探偵の苦悩」は必然的に出てくるテーマとして意識されても良いと思います。
本作においても<名探偵>法月綸太郎の推理は冴えるのですが……。
読後感は、良い感じに最悪です。
著者/訳者:法月 綸太郎
出版社:講談社( 1993-05-06 )
定価:¥ 620
Amazon価格:¥ 620
文庫 ( 348 ページ )
ISBN-10 : 4061854011
ISBN-13 : 9784061854017
■どちらかが彼女を殺した(東野圭吾・1996年)
ガッチガチの本格です。作中で、犯人は名指しされません。
最終盤、探偵が犯人を追い詰めた場面以降、犯人は「犯人」と表記されます。それまでに居た容疑者候補の二人のうち、どちらが彼女を殺したのかは明示されません。(作品内においては「犯人」の行動などで自明です)
形を変えて表現すると、「材料は既に出揃ったから、読者さん、犯人を名指してごらんなさいよ」という話。……や、魔女じゃなく。
後期クイーン問題と直接は関係ないのですが、「決定不可能性を予め追放してしまう2 」というアンサーだと理解することも出来ます。
著者/訳者:東野 圭吾
出版社:講談社( 1999-05-14 )
定価:¥ 620
Amazon価格:¥ 620
文庫 ( 356 ページ )
ISBN-10 : 4062645750
ISBN-13 : 9784062645751
■螢(麻耶雄嵩・2004年)
「叙述トリック作品には2種類ある。それが叙述トリックだと事前にバラされると著しく興がそげる作品と、そうでない作品だ」ということで、本作は後者です。名言風に云ってみましたが特に由来はないです。
……正直うみねこはあんまり関係ないのですが!
「嵐の山荘テーマ」「叙述トリック」という事前情報があってなお読者を翻弄する麻耶雄嵩の豪腕を、知らないなんて勿体無い、と麻耶信者的には思うのでねじ込んでみました。
著者/訳者:麻耶 雄嵩
出版社:幻冬舎( 2007-10 )
定価:¥ 720
Amazon価格:¥ 720
文庫 ( 438 ページ )
ISBN-10 : 4344410351
ISBN-13 : 9784344410350
■ラットマン(道尾秀介・2008年)
今年の新刊です。
……正直うみねこはあんまり関係ないn(ry
ぶっちゃけた話をするにはまだ新しすぎるので語りは控えめにしておきます3 が、2008年の年間ベスト級ということで挙げておきました。(単純に「国内ミステリの先端」ぐらいのニュアンス)
ここ数年の「若手作家」では、道尾秀介は最注目株です。
著者/訳者:道尾 秀介
出版社:光文社( 2008-01-22 )
定価:¥ 1,680
Amazon価格:¥ 1,680
単行本 ( 290 ページ )
ISBN-10 : 4334925936
ISBN-13 : 9784334925932
□……この先は、変化球とかビーンボールとか。
■探偵映画(我孫子武丸・1990年)
「気まぐれな映画監督が、素材のフィルムを残して失踪してしまったので、残ったメンバが『この素材から成立する映画』を推理する」という話です。人、死にません。
知名度があまり高くない作品ですが、「素材をこねくり回してああじゃないかこうじゃないかと全体像を推理する」というのは非常にゲーム的で、間口は広いです。人が死んでいないこともあって概ねノリが明るいのも、「あまりミステリを読まない人向け」という点では薦めやすい。
実は今回のリストの趣旨的には4 一番お薦め度は高いんですが、新刊では入手困難かも知れません。
著者/訳者:我孫子 武丸
出版社:講談社( 1994-07 )
定価:¥ 580
文庫 ( 332 ページ )
ISBN-10 : 406185707X
ISBN-13 : 9784061857070
■ジェシカが駆け抜けた七年間について(歌野晶午・2004年)
歌野正午の代表作といえばやはり「葉桜の季節に君を想うということ」になるかと思いますが、それが話題になった後の注目の第一作がちょっと形容しがたいバカミスで、新作を楽しみにしていたファンが腰から砕けたとかなんとか。
舞台(関係者)はアスリートで、2004年と1997年の二つの時間軸に跨って語られる事件の物語(それが「駆け抜けた七年間」ということになる)ですが、断言しますが推理不可能です。
トンデモとか屁理屈とかそういう内容ではないですが、逆説的に「フェアだったら推理できるってもんじゃない」の格好の事例になっているといえるでしょう。
……あ、話としては良い話ですw
著者/訳者:歌野 晶午
出版社:原書房( 2004-02-06 )
定価:¥ 1,680
Amazon価格:¥ 1,680
単行本 ( 300 ページ )
ISBN-10 : 4562037385
ISBN-13 : 9784562037384
■地球平面委員会(浦賀和宏・2002年)
体裁は本格ですが、オチでぶん投げたくなります。「ネタミステリ」という点では「ジェシカ」同様ですが、こちらの方がトンデモ度が高いです。
2008年時点でいうと、「涼宮ハルヒみたいな女が熱心に委員会に勧誘してくる一方で町では色々と事件が」なミステリ。
一発ネタ小説なので中身について突っ込んで語るのは気が引けるのですが、「ゲーム好きな人向け」ではあると思います。理由は……諸事情により解説できませんが。
著者/訳者:浦賀 和宏
出版社:幻冬舎( 2002-10 )
定価:¥ 520
文庫 ( 265 ページ )
ISBN-10 : 4344402790
ISBN-13 : 9784344402799
……以上。
◆雑感
「ミステリの懐」を広く取りすぎた。もうちょっとテーマ絞らないとリストとしては散漫になりすぎですね。
(ビーンボールは省いても良かったかも知れない)
- 無いとは云わないが。 [↩]
- これによって遡及的に「真実」を確定することが出来る [↩]
- ややネタバレ気味で良ければ個別に感想書いています。 [↩]
- 「forうみねこプレーヤ」 [↩]












