一消費者の私見とかどうでもいいっちゃどうでもいいんですが、TPP絡みで赤松健が妙なこと云ってる、というか「中の人から見るとそうなのか」という感じだったので、じゃあ外野からもチャチャ入れてみようか、みたいな話。
(TPPの他の論点についてはここでは関知しません。著作権をめぐるその他の諸問題についても概ね同様)
「そもそも非親告罪化するのか?」という点がまずありますが(この記事が発端、というかほぼここ一点突破に見えます)、仮にされたとして、一般読者のレベルではほぼ何も変わらないと思います。
ごく一部の(超特殊な)作り手側には若干の影響が無いともいえない、ぐらいかな、と。(後述)
何故か、という説明の前に、(日本の)官僚機構、特に検察官僚の思考回路について説明しておきます。(一般論です)
官僚機構は、「誤りを認めること」「一回決めたことを覆すこと」を極端に嫌います。(何故と聞かれても「さぁ」としか)
で、検察官僚+起訴便宜主義の組み合わせの結果どうなるかというと、「起訴したからには有罪にせねばならぬ」となるわけです。(Google:有罪率99%)
で、だ。
「非親告罪化」したとすると、「(手続き的に)原作者の意向に関係なく著作権法違反で逮捕して起訴できるようにはなる」わけですが、起訴した後で原作者が「うちのそれは二次創作OKですよ」と云い出したら、検察のメンツ丸つぶれどころの騒ぎじゃないわけですね。
(逆に「うちが立件したんだからまさか二次創作OKの許可は出すまいね?」ぐらいの圧力をかけてくる線があれば大問題ですが、その場合は起訴便宜主義を巡る議論を喚起しかねないので、やはり想定しがたい)
ということはつまり、「本当に原作者の意向を無視して検察が『暴走気味に』著作権侵害を取り締まる」というのは、理論的にはありえても現実的にはほぼ無いだろう、と想定されるわけです。
(まず間違いなく「逮捕」「起訴」の前の何処かの段階で権利者の意向を確認するだろうし、であれば現状と大差ないだろう、という話です)
(例えば自動車の速度超過はそこら辺に沢山いるわけですが、その全てが処罰されているか? ということです。
「何でもかんでも網をかけ、運用は検察の胸先三寸」という現行の運用に、検察にとって使い勝手の悪いツールが一つ増えるに過ぎない、と思います。何しろ「権利者がNOと云ったらそれまで」なのだから、道具としてはあてにならないにも程がある)
また別の重要な観点として、「非親告罪化されたからといって、その分の捜査リソースが増えるわけではない」ということもあります。
限られたリソースを「後からちゃぶ台返しされるかも知れない案件」に優先的に突っ込むとは想定しがたい、ということです。
(歓迎すべからざる事態であることは確かですが、実務的に何がどう変わる気はしません)
で、「ごく一部の(超特殊な)作り手側には若干の影響が無いともいえない」と書きましたが、ここで想定しているのは「別の犯罪捜査の捜査線上に引っかかった容疑者を著作権法違反容疑で引っ張る」という可能性は、無くもないかな、という話です。
あるいはまた「別の事案で捕まった容疑者が『ブツ』を所持していた場合に、容疑事実が一個増える」ぐらいのこともあるかもしれません。
そんなん、俺知らんがな。
(著作権法違反は立件がめんどいのでスルーされる可能性も高いとは思いますが)
最後に。
俺としては「著作権法違反の非親告罪化」には反対です。
それは、同人がどうこうという観点ではなく、何であれ「検察の裁量の範囲を拡大することに反対」ということです。
(軽犯罪法違反とか基本的にクソだと思います)
……ところで、もしTPPが「起訴便宜主義」をぶっ壊してくれるとしたら、個人的には割と魅力的だと思います。(「制度的事項」とか「紛争解決」でテーマにならねえかな(ポワワ)
もちろん、そんな条項を官僚機構が飲むわけがない、のですが。



