2巻の感想を書いていないことに今気付いたがまぁ良いか。
弁当争奪バトルアクション、3巻目です。
冒頭一ページ引用。
需要と供給、これら二つは商売における絶対の要素である。
これら二つの要素が寄り添う販売バランスのクロスポイント……その前後に於いて必ず発生するかすかなずれ。
その僅かな領域に生きる者たちがいる。
己の資金、生活、そして誇りを懸けてカオスと化す極狭領域を狩り場とする者たち。──人は彼らを「狼」と呼んだ。
……というのは「閉店間際のスーパーで、半額シールを貼られた弁当を巡って行われる戦い」とそれに参加する人たちを指してのことですが。
大袈裟? 良いんだよ、「大真面目に馬鹿馬鹿しいことをやる」のが一つのポイントなんだから。
相変わらず無駄に気合の入った弁当争奪バトルは絶好調です。
あと、あんまり意識してませんでしたが、いわゆるグルメ漫画的なといいますか、食事・食材描写がだんだん気合入ってきているように感じます。
……所詮はスーパーで売ってる弁当だったりどん兵衛なんですがねw 読んでると何か食べたくはなります。
今回の「敵」は双子の姉妹。
「狼」としては相当の手練らしいのですが、過去に何やら因縁があり、しばらくは「戦場」から離れていたらしい、と。
このシリーズは、弁当争奪のバトルが最重要ポイントでありながら、描写の上では必ずしも重視されない、というところが一つのポイントではあるでしょう。
「どう戦ったか?」「危機をどうやって回避したか?」「どうやって逆転の一撃を叩き込んだか?」といった要素は、(ストーリーが盛り上がってさえいれば)必ずしも重要ではない、と。
「決定的な場面」は大抵描かれないものね。(場面転換+回想パターンが多い
その分重視されているのは「キャラ立ち」です。
特に「何でわざわざ弁当争奪戦に参加するの?」という点については、そもそもシリーズの根源的な問いだけに各キャラ内に確固たるものがあり(または「ない」ことが「キャラ立ち」として機能し)、そして話がその点を核として展開されるために、ストーリーとキャラ立ち(≒キャラのアイデンティティ)が相乗効果でガンガン盛り上がるという、ちょっと手の付けられない状態になっています。(褒め言葉)
……と、ストーリー面では文句はありませんが、構成的には気に入らない点が少々。
そのいち。
作者あとがきで「長すぎたんで色々削った」とあるのですが、削り方が中途半端で、風呂敷を広げたっきり畳んでない要素が気になりました。白粉花&筋肉刑事&ツードッグスとかその辺は最後に何かしら畳むもんだと思っていたので、何もないまま終わってしまって拍子抜けです。沢桔姉妹の話だけで十分成立していたので、序盤から中盤の「それ」はいっそ完全に削ってしまった方が良かったのではないかなぁ、と。
あとあやめもあんまり出てきた意味無いよね。(最後のバトルに「参加できない理由」は示す必要があったかも知れないけど、それだけでしょう)
そのに。
沢桔姉妹のキャラ立ちが不足、というか「姉妹としては良いんだけど固体としてはキャラあんまり立ってなくね?」と。(より正確には「一人だけ立ってる」か)
この点は「二人で一人だから個別のキャラ立ちは不要」というような計算があったのかも知れないんだけど(名前が両方とも「キョウ」ってのは明らかにキャラを立たせない方向だ)、だったら「二人で一人だから個別のキャラ立ちは不要」的な事情が強調されていても良かったのでは、と。
基本的には面白かったので、その辺がちょっと気になったというか「惜しいな」って感じです。
ベン・トー〈3〉国産うなぎ弁当300円 (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者/訳者:アサウラ
出版社:集英社( 2009-01-23 )
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文庫 ( 292 ページ )
ISBN-10 : 4086304678
ISBN-13 : 9784086304672




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