ナヲコ「プライベートレッスン」 練度の高い百合であり非常にオススメであるあるある(残響音含む

(「残響音含む」って今でもアリなんですかね?)


 つぼみで連載してた「ピアノのお稽古モノ」のやつです。
 前作んときもちょっと触れましたがこの人基本音楽漫画なんよね。

プライベートレッスン

 ……いや、どうもネタ濃い目になってしまうが、真面目に解説しようと思ったんだった。する。
「練度が高い」ってのはですね、「構成がよく考えられている」というか「演出効果と構成がハマっている」というか、そんなニュアンスです。

 ……この先中身に踏み込むというか「どういう構成でどういう効果が」みたいな話をするので、本編読んでからにしたほうが良いですよ、と。


「本編読んでからにしたほうが」とか云いつつちょっと一般論。
 ジャンルとしての百合を形式論で語ると、「キャラクターAとBが居るときの、A⇒Bの矢印とB⇒Aの矢印の意味についての話」ぐらいの整理になるかと思うのですが、OKですか。(時としてCとかDも居ますがそれはまた別の話)1
 以下、これを念頭に置いといてください。

・本作でA、Bにあたるのは「たまご(生徒側)」と「とり姉(先生側)」で、
・本編の主人公はたまごで、
・たまごのとり姉への憧れであったり敬意であったり(周囲の人への)嫉妬であったり、
 といった要素が「話の本筋」として展開されていきます。
 この辺、とり姉はたまごに思われ・その気持を受け止める(だけの)存在です。

(誤解無いように申し沿えておくと、それはそれで全然アリだし、「相手の気持が分からない」ってのは百合に限らず普通の話です)

 それが最終回で突然反転するのね。
 具体的にはとり姉視点でのたまごへの意識が語られる。それ以前に伏線は特になかった、と思う。
(「告白に応える」云々の形式ではなく、「とり姉の一人称として内面の意識が語られる」ということです)

 そこで語られるものがどういった種類の感情であるのかはさておいて(現物を読んでくださいませ)、ずーっと伏せておいたカードを最後の最後にこういう切り方をするのか、と普通に感心しました。

>>
■補足
 俺が推理小説畑の住人でもあるという点は大きいです。推理小説的には「語りの恣意性」には自覚的というか神経質にならざるを得ないので。
 あと、推理小説の文脈で読んだらアンフェア気味ではあると思います。
 ……が、云うまでもなく本作は推理小説ではないのでフェアネスとか知ったこっちゃねえですし、「その手法によって達成される演出効果が望ましいものであるならば」、躊躇う理由は特にないとは云えると思います
<<

 で、その「演出効果」なんですが、それまで「片道」のお話だったのが、そこで突然双方向、というか重層的なお話になるわけで、ある種の安心感とか世界が(主観的に)ぐわわっと広がる感じというか、なんかもうたまらんですw(おいボキャ貧)

 ……というところまでが連載分でね

 書き下ろしがなんかもうヤバいですね。
 言葉にならない奇声を上げてその場で踊り狂うぐらいテンション上がる
 今なら幼少期のゲイツシリーズの気持ちが判る……!!(うるさい馬鹿)


 ……まぁそんな感じで百合好きなら、というか百合嫌いじゃないなら是非読め、であります。
「描き下ろしが神」の理由によりつぼみで読んでても買うべき
 マジで。

プライベートレッスン (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

著者/訳者:ナヲコ

出版社:芳文社( 2011-08-11 )

定価:¥ 890

Amazon価格:¥ 890

コミック ( 146 ページ )

ISBN-10 : 4832240552

ISBN-13 : 9784832240551


  1. 「百合とBLに本質的な差異はない」「内容としての百合と形式としての4コマの相性がいい理由」あたりにも繋がる話ですが今は割愛。 []

ナヲコ「なずなのねいろ」 すげえいい話だったけど終わり方若干納得行かねええええw

 三味線部にかけた青春……というか、三味線が結んだ「縁」の話、完結です。
1巻の時も記事書いてます

なずなのねいろ
(練習風景のひとコマから)
(正直この作品は「一場面を切り取って伝える」のに不向きです。気になるなら読め、むしろ気にして読め)


 話の本線はものっすごくウェットなんですが、「問題」に整理をつけて、三味線に、あるいは家族との関係に、ちょっとずつポジティブに向き合えるようになっていく、という変化が、──カタルシス……というと言葉が強すぎるかな──見ていて安心するというか、心が穏やかになります
 ……変な表現だとは思うけど他に表現が思いつかない。
(好き嫌いで云えば好きだし面白い詰まらないで云えば面白いんだけど、そういう言葉よりも「安心する」という感覚のほうがしっくり来るのよね)

 ……でですね。

 最後は作品の仕上げとばかりに学祭ライブ(的なイベント)で締めるんですが、ここで「けいおん!」の終わり方を思い出してほしいのですよ。
 あれ、盛り上がりとしては学祭ライブがピークだとしても、その後の学校生活も(淡々と)描写して、で最後は普通に卒業で終わったでしょ。その「平然とした終わり方」が、読者には「卒業後もこんな感じなんだろうな」という印象として映ったと思うのね。
 で本作の話に戻ると、ニュアンス的には「色々あったけど部員がライブに向けてひとつになりました⇒そしてライブが始まった!(完)」みたいな終わり方で、このイベントをそうやって締めること自体はまだ判るんだけど作品全体をそういう終わらせ方にしちゃうの? という疑問がもーーーーのすごく湧くのよね。
 なんかこうもうちょっと最終回的な締め方ってなかったのかなぁ。

 作品の「最後の場面」として、すごくきれいな場面だったというのもそれはそれで判るんですよ。
 判るんですが、じゃあ締める前に語りそびれたことが色々あるよねえ? と。
 ……1巻から読み返したわけじゃないので俺の読みがなんかおかしいかも知れないとは思うんですがでもやっぱこの終わり方はちょっと(良いとか悪い以前に)理解出来ないところがあります。

(すごく意味ありげなというか色々な読みが可能っぽい終わり方なので「読み取れないお前が馬鹿なんだよ」という可能性もあるのですが、「誰が読み取れるんだよ」って気分だわw)

 真っ向からダメとも言い難いんですが釈然としないのも事実という、非常にモヤモヤした気分になってしまいました。
 誰かこれの終わり方の意味を解説してほしいです。
(ひょっとしたら俺がそういうのを期待される側なのかも知れませんが無理なものは無理だおw)

(終わり方以外にゃ不満ないっすよ?)


 ちなみにこのナヲコという人は前の単行本でも今つぼみでやってる連載も音楽モノです。
 なんか音楽に関係ある人なのかなーとか思いますが細かい話よくわかりません。
(この2行まるっきり情報価値がないなと書いてから気付いたが放置)


■2/13追記

 この記事が作者の目に止まってTwitter上で直接お話を聞かせてもらいましたが要するに「まとめ切れなかった」ということでいいようです。(特に許可とってはいませんが伏せなきゃならない話でもないと思うのでリンク・他にもありますが見たい人は直接Twitter飛んでくださいな)

(ここは一応「舞台上」のつもりでやっているので各方面に演出過多ではあり、そこら辺を汲んでいただけたらそれはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした)(ここら辺が演出過多)

なずなのねいろ 3 (リュウコミックス)

著者/訳者:ナヲコ

出版社:徳間書店( 2011-02-12 )

定価:¥ 650

コミック ( ページ )

ISBN-10 : 4199502300

ISBN-13 : 9784199502309


[単行本] ナヲコ ≫ なずなのねいろ

「云ってくれれば感想書くよ」って口では云いつつ「せいぜい『通りすがりの人が何か云うかも』ぐらいだから適当に流せばおk」って思ってたらなんかユルくない人から要望を頂きまして狼狽というか。
 こういうのは「誰から来たか」が隠蔽されてる方が心理的に楽で良いですねw

 ……すー、はー……。
 では。

「音楽漫画」ってのはwikipediaにも項がある(本当)、それなりに定番なジャンルです。

 ……ですが、本作が特徴的なのは「音楽が重要な要素でありながら、しかし音楽メインではない」という音楽の扱いでしょうか。
 あ、これは俺が(現段階で)そう評価したってだけで、作者的に/今後の展開次第でどうなるか、は判りませんが。

 意味が取りづらいと思うので表現を変えると、「本編の実質的な主人公は『なずな』で、音楽は『なずな』のパーソナリティの極めて大きな面を占めていて(しかし全てではない)、この話は『なずな』が音楽を通じて出合ったヒトやコト、あるいは成長、の話だ」ってことです。
(「なずなのねいろ」というタイトルはシンプルながら良いタイトルだと思います)

 音楽が中心にあるか……?
 まぁ、捉え方によってはそうとも云えるでしょうが、ここでは「音楽を含めた『なずな』のパーソナリティ(キャラクター)が大変魅力的だ」と表現しておきます。
 平たく云うとなずなたんハァハァ。(理性、ついに尽きるの図w

 ここでようやく主人公と、そして音楽の話になる訳ですが、まずノー説明で4話の扉画をどうぞ。
4話
 パっと見の外見が小学生みたいなのは、作者のタッチがそうだというだけではなく、作品的にもそういう設定です。
 こんな見た目でも高校生で、道場では先生役をやっている、要するに「すごいひと」。これ、些細なようでいて、なずなの容姿が歳相応だったらどうだったかな、と思うのですね。
 それはそれで成立するでしょうが、多分今のこの話とは全然違ってくるだろうなー、と。

「子供だと思って侮る→凄ぇ!!」な感じの差異というかギャップを強調した描写は色々とあるのですが(外見的にも内面的にも)、そういった要素がいちいちなずなのキャラクターにとってプラスに働いていきます。「かわいい顔して ベベン、ベーン!」とはオビのコピーですが、このコピーはGJ!
(といった話をキャプチャ付きで解説しているのがこちら
 演奏シーンも、まさに「魂が入る」といった感じで、こんなナリなのに凛々しいんだもん、まいっちゃうぜ☆

 本編の主人公(♂)が空気というわけではなく、そちらはそちらでゴタゴタしそうではありますが、でもやっぱなずなの方が気になるよなぁ。姉トラウマとかベタだけど大好きですよ、はいw

シリカゲル商事 被ブックマーク件数
http://d.hatena.ne.jp/naruo0926/20080722/p1
ナヲコ『なずなのねいろ』1巻 – 枳棘庵漫画文庫 被ブックマーク件数
http://d.hatena.ne.jp/bonchou/20080719/1216491601
ねいろ – ツカンポは荒野をめざす 被ブックマーク件数
http://d.hatena.ne.jp/tukanpo-kazuki/20080725#p1
 俺の感覚と近い記事を3点ほど。(一番上は文中でリンクしたのと同じところ)

なずなのねいろ (1) (リュウコミックス)

著者/訳者:ナヲコ

出版社:徳間書店( 2008-07-19 )

定価:¥ 580

Amazon価格:¥ 580

コミック ( 208 ページ )

ISBN-10 : 4199500871

ISBN-13 : 9784199500879


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