内容に圧倒されて言葉にならないのだわ……。
2001年版のこのミステリーがすごいでは一位を取ったこともあるミステリ作家の、国内最新作、のようです。
(本作以外の作品を知らないし背景知識もないのでよくわかりません)
本作を一言でいうと、「ブロンクス生まれのイヴ(=聴覚障害者)が、ろくでもない父親やその関係者に苦しめられながら、力強くあるいはか弱く、生きていく」話。
うん、事件がどうとかそういう話じゃなくて、イヴの自伝みたいな構成になっている。
(作者のプロフィールがネット上にあんまり出てきませんが、帯にある「サウスブロンクスのイタリア系一家に育つ」という境遇はイヴと重なります。作者自身の聴覚障害の有無は知りません)
面白いかどうかは、よくわかりません。
「事件があって、さあどうなる?」という話ではなくて、イヴ(達)がなんとか生きていこうとするのを、街のチンピラの一人である父親(等)がひたすらぶち壊していく、という、目を覆いたくなるというか(個人的には身につまされるというか)、とにかく悲惨な展開の嵐です。
「そんなのただの欝話じゃねえかよ」はいそうなんですけれども、しかしながらイヴ(達)はそこで折れないんですね。
タイトルで「魂」という単語を出しましたが、「神ならざる、英雄ならざる、ただの聴覚障害者の、その境遇と生き方の力強さや美しさ」みたいなものを感じずに居れないし、多分そういう話なんだと思います。
「イヴ(達)」と何度か書いていますが、中心になるのは以下の4名です。
・イヴ 主人公(聴覚障害・カメラが趣味)
・クラリッサ イヴの母
・フラン クラリッサの友人・イヴの「魂の師」のような存在
・ロメイン イヴの父、ヤクの売人、くそったれ
「こいつ死なねえかな」と作中キャラに呪詛を放ったのは割と久々な気がするわ。
(ロメインと、後半でまた別の奴)
「面白いから読め」と云うには少々重すぎるのですが、間違いなく「すごい」です。そこは保証する。
■余談1
百合姫343ページでこれが百合枠で名前上がってんだけど、「イヴ─クラリッサ─フラン」のラインに百合見出すのは厳しくねーっすか……?
そんな妄想を差し挟む余地がないほど緊張感に満ちた展開だったと俺は思うのだけど……。
■余談2
俺が本作に興味を持つきっかけとなったのはこのtweetです。
(スペシャルサンクス的な意味で挙げておきます)
著者/訳者:ボストン テラン
出版社:文藝春秋( 2010-08-04 )
定価:¥ 920
Amazon価格:¥ 920
文庫 ( 469 ページ )
ISBN-10 : 4167705877
ISBN-13 : 9784167705879




