「ビブリア古書堂の事件手帖」も読了しましたが、あっちは「出来は悪くないけど俺向きじゃない」て感じでした。
話題性あるので近いうち何か書くと思いますが。
(ざっくりとはTwitterで触れた⇒20:14:59以降数件)
で、虚構推理。
読もうと思ったきっかけは本ミス2012の4位ってことですが、うん、超納得w
(ここ最近、小説の感想は腐してばっかでアレだなぁと思っては居たので、こういう躊躇いなく絶賛出来る作品を引くとホッとします)
割とぶっ飛んだ稚気──それは「本格魂」と紙一重かも知れませんが──のある作品で、という意味では麻耶雄嵩とか好きな人には合うかも知れません。
……というか、大元のトンデモ設定にしろ、論理を弄ぶような展開にしろ、ベストセラーになることを最初っから放棄したようなマニアックな(というか「読者が『ノリに合わせる』ことを要請する」)作品で、麻耶雄嵩とか好きな人じゃないとむしろハードルあるかも知れません。
というのが「ミステリ的には」の話で、キャラクター小説的には、主人公件ヒロイン件探偵の岩永琴子が、媚びてなくて超最高でした。
ぶっちゃけ最近は「強いヒロイン」自体がマス狙いには不向きで、この点でもベストセラーになることを最初っから放棄した感ありますが、でも俺はそういうのが良いんだっつーのw
状況説明、の前に補足。
主人公の岩永琴子とその恋人の桜川九郎にはちょっとした「ぶっ飛び設定」がありますが(本編早々に語られる)、初見時にインパクトがあるのでここでは触れません。
従って以下の説明も、その辺の説明はカットしています。
しばらく前に、スキャンダルで姿を消したアイドルが、真倉坂市(作中の舞台)で死んだ。
色々と噂は立ったが、最終的には「自殺に近い事故」として処理され、やがて忘れ去られていくはずだった。
……が、最近、そのアイドルの霊が真倉坂市内に出没するようになったという。
「現役時代のコスチュームを着た顔のない『それ』が、自分を押しつぶした鉄骨を振り回している」
というのだ。
琴子と九郎はその噂が「自分たちの側の事案」だと見当を付けて調査に臨む……。
……ううん、ネタバレしないとこの作品の特異性は語りにくいなぁw
(以下、若干内容に踏み込みます。重大なネタバレはないと思うけど一応注意)
この事件、というか噂、に対処するのは事実ですが、この「アイドルの霊」は実在します。
いや、というか、「非業の死を遂げたアイドルの霊が市内を徘徊している、というのは面白い」という「市民」の意識こそが、アイドルの霊を実体化させているのです。
従って、琴子と九郎は「このアイドルの死の裏にある噂」を論理的に解体し、「霊なんて居るわけないし『そっち』の方が面白くて説得力あるよね」というロジックを立てて「市民」を逆洗脳し、アイドルの霊を霧消させることが目的になります。
(ここで「市民」と書いたのは便宜的なもので、実際には似て非なるものですが説明は割愛します)
「ロジックを立てて『市民』を逆洗脳」というところがポイントで、作中において真実性はあまり重要視されません。
ここで伏せた事情により、琴子は真実を特権的に知ることができます。これは前提です。
ポイントは「真実を材料として使いながら虚構のロジックを立て、説得合戦での勝利を目指す」というところで、なんというか……唖然としましたわw
「真実を特権的に知ることができる」というチート設定がありながら、目的とするのが「真実を知ることではなく説得合戦に勝利すること」であるが故に、全く普通に「本格推理小説」が成立しています。
漫画原作者としての活動が長かったからでしょうか、そう簡単に出てこない発想だと思いますよコレ。
琴子のエキセントリックなキャラクターについても語っていいとは思いますがとりあえず割愛w
本作はミステリ的な趣向自体でまず評価されていいです。超お薦め。
著者/訳者:城平 京
出版社:講談社( 2011-05-10 )
定価:¥ 945
Amazon価格:¥ 945
新書 ( 288 ページ )
ISBN-10 : 4061827685
ISBN-13 : 9784061827684




