短編集。
1998年から2008年にかけて書かれたということで年代にもテイスト(方向性)にも一貫性はありません。
……が、総じてレベルが高いというか(ミステリ)純度が高いというか、面白かったです。
一遍ずつ触れると長くなりすぎるので表題作についてのみ。
どこぞの企業の新人研修。主人公は周囲から隔絶された円筒状の建物に隔離されている。
研修といいつつ実施者の真の意図は不明だが、いずれにせよそれは大きな問題ではない。
屋敷内には、一日24時間×60分=1440分に対応してそれぞれ異なる時間を示す、1440個の時計が配置されている。(と、事前にアナウンスされている)
周囲から隔絶されていた主人公に、現在時刻を知る術はない。
……1440個の時計の中で、正しく現在の時間を指している時計はどれだ?
極限状況の一発ネタみたいなもんで、理由はすっとばして即パズル展開が始まります。
が、これが物凄い緊張感。
「ロジックの導きに従えば、きみは唯一の正解にたどり着けるだろう」というメッセージで主人公へのアナウンスが締めくくられるのですが、最終版で主人公が一つの時計を指し示すシーンで「うおおそう来るか!」でした。
文体も非常にスピーディで、法月じゃないみたいですがw、面白かったです。

しらみつぶしの時計
著者/訳者:法月 綸太郎
出版社:祥伝社( 2008-07-23 )
定価:¥ 1,785
Amazon価格:¥ 1,785
単行本 ( 376 ページ )
ISBN-10 : 4396632991
ISBN-13 : 9784396632991
巧い……が、それだけって感じがするなぁ。
誰にでも書ける内容じゃないし、コンセプト(企画)先行なのは判るけど、「やられた!」感には欠けると思う。
「犯罪ホロスコープ」の題のとおり、と云って良いのか、正座と神話のエピソードが各話の冒頭に配置され、そのエピソードと二重写しになるような事件が語られ、あとはお決まりの「警察が操作→難航→助けて倫太郎?」コース、という6作品を収録。
(そもそも十二星座のエピソードを毎回引っ張ってくるのだって手間だし、事件の背景と神話のエピソードを絡めるってのも手間で、「無駄に手間がかかるわりに見返りのない言葉遊び」 ってのは誰の話だよって感じです)
ぶっちゃけた話、一編一編について「凄い!」という印象は受けなかったのですが(トータルとして「無茶な仕事するなぁw」とは思います)、一話選ぶなら「二組の双子同士が互いに結婚して云々」の話かな。斜め読みモードに入ってたこともありますが、引っかかった部分を完スルーしてたんで大事なところで「あら?」って風にはなりました。(良い読者じゃねぇなw
準シリーズキャラと化している飯田才蔵は、ずうずうしさと茶目っ気を備えた良いキャラだと思います。
……で、俺としては「長編で出てくることはあるのかな」というあたりを気にしたいのですがどうよ作者?(見てねぇよw

犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題 (カッパ・ノベルス)
著者/訳者:法月 綸太郎
出版社:光文社( 2008-01-22 )
定価:¥ 880
Amazon価格:¥ 880
新書 ( 261 ページ )
ISBN-10 : 4334076661
ISBN-13 : 9784334076665
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