原作の小説は、執筆者がクラックをキメていた可能性もありますが、今はまだクソの山です 。
……というのが、漫画版の感想の前提。
で漫画版なんですが、要素の再構成はあるものの「概ね原作に忠実」と云って良いと思います。
それは「中二テイストな諸要素」「後先考えずに行動する登場人物たち」と云った点を含めて。
しかし、にもかかわらず本作、「漫画としては悪くない」というのが俺の評価です。
「駄目な原作を『忠実に』漫画化したのに駄目じゃないの?」って思いましたか? 思いましたね? ……つーか思え。話が進まないから。
以下、その解説。
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「ライトノベル」の、特に「売れる」「受ける」「人気の出る」作品については俺の中に一つのイメージがあって、端的に云うとそれは「読者が主人公に自分を仮託して、その主人公の『成功』によって(読者自身の)承認要求を満たす」ためのツールである、というものなのですが、どうでしょう。「世間知らずとか病弱とか外国暮らしとかを理由にして日常生活レベルでトラブルを起こすヒロイン」を支えることを自己肯定の一部にする主人公はミリ秒の躊躇もなく消えてなくなるべきだと思うんだ俺としては。
……上記の読みの中で俺の本当の「ムカつきポイント」は別に「承認要求」とかそこら辺には無くて、「作品と『あんた自身』を比べたとき、作品じゃなくて『あんた自身』の方が優先順位高いんだ?」という点なのですが。……ああ、俺はどうやら「『その作品自体』よりも『その作品を嬉々として受け入れるファン』の方により強い苛立ちを覚えている」らしいんだけど。
……まぁ良いや。
以下は紅の内容について。
本編開始直後の2行を引用します。
玄関のチャイムが鳴っていた、もう二時間も。
それは断続的なものであり、たまに途絶えると、そのかわりに玄関の扉を叩く音が数十回続く。
この段階でかなりコケました。強烈に中二臭い倒置に続いて無駄な指示代名詞二連発。アホか。
……無理やり好意的に解釈するなら「この時点で本作の文章が内容よりも雰囲気重視で書かれている」ことが判ったので、延々読み進めてからそう気付くよりは良心的な設計、ということにはなるんでしょうが。
もっと直接的で判りやすいポイントとしては挿絵の九人中で男は主人公一人だけとか。ハイハイ。
以降端折りますが、基本的には「主人公がウダウダしていて状況的に追い詰められて、で他人に判断を預けて「やれ」って云われたからやりました勝ちました」という話ですね。
ストーリーライン自体も「何だそれ」って感じですがこれはまぁ好みの問題として処理します。次。
作品的な問題点はこっちだ、「全面的に描写が足りなくて主人公その他のキャラクターに感情移入できない。展開も御都合」。
銃で撃たれてもちゃっちゃと回復するのに敵の格闘家に殴られると深刻なダメージ(笑)。大見得切っといて最終的には「ラスボスのお目こぼしでそれまでの生活を継続」パターン(笑)。
あとは、表御三家(笑)、裏十三家(笑)。
……や、そういう道具立て自体は別に良いんだけどさ、「キーワードだけ出して描写とか説明とかなしで凄いもののように扱う、それが問題なく成立して話が進んでいく」、ってのは受け入れ難いと云わざるを得ないんだな。
……でだな。
実物の人に「ライトノベル原作の漫画化」についてコメント貰ったんだけど、俺が「ライトノベル原作の漫画化」について感じるのはもっと基本的なことで「原作の文章がダメでも、漫画化を担当した漫画家が真っ当なら見られる水準に仕上がる」ということ。
それがアニメ化にまで行くと規模が膨らむんで話がまた変わってくるんだけど、漫画の場合はまだ基本的に個人プレーなんで、「原作者から漫画家に(描写がチープでも)伝えることが出来たならば、漫画家が読者に(ちゃんとした描写で)伝えることが出来る」ということ。
勿論個人プレーなんで漫画家がタコだとバイバイではあるんだけどね。(最大のドル箱作品が黒歴史の次にまた黒歴史とかどんな冗談だ、みたいな話ね。……そこ具体名挙げるの禁止!)
……上記について補足しておくと、「漫画の方がライトノベルより単純に上等」と読めるかもしれないけどそうではなくて、「漫画とライトノベルでは読者が評価する観点」が異なっていて、俺は「漫画読み」の観点から漫画もラノベも評価している、ということね。(これは特に「漫画化される程度には人気の出たライトノベル」についての話か)
この点については突っ込んで語ると長くなりそうなんで、また別の機会に。

紅 (集英社スーパーダッシュ文庫)
著者/訳者:片山 憲太郎
出版社:集英社( 2005-12 )
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文庫 ( 324 ページ )
ISBN-10 : 4086302721
ISBN-13 : 9784086302722
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