完結感。
普通に面白かった。
………………という方向の話はあまりできそうにないので、食い足りなかった、という方向で書く。
中国をイメージさせる中世・東洋風の地域を舞台に、それぞれに立場や由来の異なる七つの国=七人の「姫」が「権謀術数を巡らせたり正面からぶつかったりしながら」国盗りをする話、その完結巻です。
それ自体は「へえ、ラノベとしては珍しい題材だね」な感じかと思うし、それを期待して裏切られるということもないのですが、上記の括弧で括った「権謀術数~ながら」の部分が、問題というか、作者の限界というか、かなぁ、と。
問題を一言で云うと「作者が自キャラを(みんな好きなので)悪人に出来ず、殺せず、その結果、シビアな展開・場面の筈なのに緊張感・臨場感に乏しく、予定調和感が強い」です。
これは、局面が未整備の序盤のうちはあまり気にならないのですが、構図が固まって「あとは決着を付けるだけ」な場面を迎える最終巻ではものすごく気になります。
(途中の展開全部は覚えてないけど、「名前のあるキャラ」(SLGなら顔キャラ相当)は一人も死んでないし「完全に物語から退場」してもいない気がするんだよね。流石にそれは嘘だろう)
繰り返しになりますが姫様は七人居て、主人公はそのうちの一人で、「実際には姫様でもなんでもないけど野心家二人組に担がれて姫役をやっている子供」みたいなポジションです。
話の進行は彼女の視点とシンクロしているので、判らないことがたくさんあったり、(特殊な立場なので)見聞きするいろいろな体験から考えたり学んだりして、それが抑制的で俯瞰的で優しい語り口につながり、この点は最初から最後まで一貫して作品の長所だとは思います。
……思いますが、語り口が優しいからってシビアな衝突の決着まで優しくしちゃっちゃ駄目じゃね? 俺はこの点は肯定的に見られません。
シリーズは6巻で終わりを迎えた訳ですが、三国志で云うと「魏呉蜀の三国鼎立が成立しました。完」みたいなタイミングで、展開的には「いやいやいやいや」の一言なんですけれども、一方で「死者も悪人も出さず緩く続けられるのはここらが潮時」というなら、それはそれで判るわけですね。
(読者としては納得していませんが「この作者ならそういう判断があっても不思議ではない」という意味です)
語り口、雰囲気自体は普通に好きなんですが、上記の見立てが正しいとしたら作者はシビアな話に向いてないと思うのだがどうよ。(なのに何故戦争もの書いたし)
……1巻だけなら読んでも損しないと思うので、そんな感じでどうですかね?(何の交渉だ
著者/訳者:高野 和
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文庫 ( 285 ページ )
ISBN-10 : 4840222657
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著者/訳者:高野 和
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